2016.Sep.29
「君の名は」と聞くと青春時代の切ない別れを思い出す70代の方も多いず・・・。数寄屋橋での再会を約束した男女の恋物語。昭和27年にラジオドラマとして放送され、その後映画へと移り大ヒットした菊田一夫さんの作品。ヒロイン真知子(岸恵子)のストールの巻き方が「真知子巻き」と称され、ちまたの女性たちはみな真似をしたという・・・。戦争が終わりようやく明るい兆しが見えてきた時代の象徴だったのかも知れません。
そう言えば「番組が始まる時間になると、銭湯の女湯から人が消える」というエピソードも残っています。これが事実かは定かではありませんが・・・。それっていつの話じゃ?(確かにぜんぜん今の人にはピンと来ない話)。わたしが生まれるちょっと前の話ですが、どこで聞いたのか不思議と頭に残っている記憶です。(変な子ども?)
映画館に足を運び、中高年の多い事にビックリしたわたしは、「まさかこの人たち間違って来たの!!」なんて思ってしまいました。(そんな訳ないか???)いきなり訳の解らない話からはじまってしまいすみません。なんかむかし話からはじまる悪い癖がでてしまいました。
さて話を変え、アニメ”君の名は”に戻しましょう。先日”聲の形”を観てこころのダムが涸れ果ててしまったわたし。その余韻も醒めぬまま、話題のアニメ”君の名は”を観に劇場へと足を運びました。この作品もまた、娘の一押し作品である。娘は悪いことにわたしに似てしまい漫画(&アニメ)オタク。一応感性は悪くないと思っているので、素直に助言を信じての鑑賞です。この映画を創った監督は、長編2作目の新進監督・新海誠。いま、もっとも世界が注目しているクリエーターのひとりで、その才能は折り紙付き。その才能に触れるためわざわざ日にちや時間を外したつもりだったが、劇場は観客でいっぱい。それも子どもから壮年までとかなりの年齢幅。
さて、感想です。まずはその美しい映像に目が釘付け。見れば日本の技術力は世界のトップであると間違いなく確信します。とくに印象的なのは光の使い方と、取材で固めたディテールへの拘り。遠近感を大切にし、まるで実写をみているような演出がいたるところに表現され、リアリティが半端ではありません。ただそこも凄いのですが、この作品はそのストーリーの面白さと想像力豊かな展開が何と言っても凄いところ。夢からはじまる二人(瀧と三葉)の不思議な感覚から、あっと言う間にラストへと導くその脚本には脱帽です。内容は自分の目で確かめてください。説明は一切いたしません。すれば夢が壊れそうで、なんかもったいない感じです。観た人同士で色々話がいくらでも出来そうな、そんな思春期の淡い想いが詰まった物語。運命みたいなものを、見近に感じるそんな作品です。何回も観に行く人が多いとのことですが、納得です。報道では作品興行収入が100億を超えたそうですが、そんな下世話な話すらしたくない美しい作品です。ちなみにアニメ監督で100億越えは、宮崎監督につぎ2人目だそうです。やはり日本アニメは、間違いなく日本が誇る文化のひとつになったと言える代表作ではないでしょうか。嬉しい限りです。みなさま絶対に観ましょう。