2014. Dec. 12
久しぶりにサスペンス映画“ゴーンガール”を鑑賞。公開前から気になっていた作品で、監督は“セブン”“ソーシャル・ネットワーク”そして“ドラゴン・タトゥーの女”と作品を発表する度に、ファンを虜にしてきた鬼才デヴィット・フィンチャー。“セブン”“ドラゴン・タトゥーの女”はわたしも大好きな作品。独特な感性と映像表現は他に類をみない。結構ギリギリのコードを綱渡りで表現するその才は、見る側にとって凄く刺激的である。今回彼が選んだ原作は、ギリアン・フリンという作家が書いたベストセラー。脚本も同人物が、今回は担当している。原作と映画は別ものと考えれば、映画を楽しむことが出来るのだろうが、そうは行かないのが世の中。常に比較され、あ〜だのこ〜だのと言われるのが映画の世界。ましてベストセラーとなれば作り手はプレッシャーなどもあるだろうと思うわたし。完全オリジナルの書き下ろしならば、それこそ好き勝手にやれるだろう。と言うことは裏を返せば、監督が挑戦したいほど感銘を受けたという裏付け・・・。これは期待しない訳がない。
さて、本題の映画の感想です。作品の宣伝文句は「サイコロジカル・スリラー」である。なんか長ったらしいうたい文句である。ジャンルではサスペンスとなっているし、ミステリーともスリラーとも言われているし・・・。関係ない話だが、こう言う宣伝文句は蛇足ではないだろうか?見る側の勝手で好きに観させてほしい。そもそも分ける必要もないとおもう自分である。
サスペンス映画の神様と称される「アルフレッド・ヒッチコック監督」を知らないひとはまず映画ファンにはいない。数々の名作を残し多くの監督にも影響を与えていると聞く。その監督の作品で“サイコ”という作品がある。ご存知のひとは多いはず。一度観たら忘れられない映画に数えられる作品である。最近はなかなかこう言う作品に出会えなくなりました。また、ひとつのジャンルに拘った作品づくりをするひともいない。デパルマ監督がヒッチコック監督に影響を受けたことは周知の事実だが、到底及ばなかったことも事実。わたしはデパルマ監督の作品結構好きですが・・・。
また悪い癖で、どんどん話がそれてしまいました。ゴメンナサイ。襟を正してもう一度もとに・・・。
“ゴーンガール”を観てハラハラドキドキしたかと言えば、特に・・・と正直答えます。じゃ面白くなかったかと言われれば、ン〜ンと声になります。2時間半の映画ですが、長くは感じません。個人的意見ですがポワンとはじまり、ヤッパリで終わると言った感じです???意外性を期待するとちょっと物足りなさが残るかも知れません。はじめに言いましたが、原作と比較などしないわたしですので素直に映画として楽しみました。原作を読むともっと違った印象も生まれるのかも知れませんが・・・。読みません。一番印象に残ったのは、やっぱり「奇麗なバラには刺がある」です。主人公を演じたベン・アフレックとロザムンド・パイクは、凄く良かったです。夫ニック役のベンは自業自得だろうと思わせる、身勝手な男を見事に演じているし、妻エイミー役のパイクは怖いくらいの美貌の裏に秘めた毒をこれも見事に表現した名演です。パイクの作品ははじめて観ましたが、あまりの美しさに圧倒され目が泳ぎぱなし。まだ、こんな奇麗で知らない女優さんがいたのかと驚き。品があり、清潔感に満ちあふれ、知性も感じる。“こんな女性があんなことを平然とするのか”というおもいが強く残る。ただ、あまりのあっけらかんとした情緒に呑み込まれ、怖さを超えてしまう。そしてただ美しさだけが脳裏に焼き付いてしまいました。本当に奇麗です。こんな風に感じる奴が、いちばんヤバいのかも知れません。くわばら、くわばら。
Shoji UEKUSA