よもやまシネマ-272 “怒り"
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2016.Sep.20

素晴らしい日本映画が誕生しました。吉田修一原作、李相日監督作品“怒り"、近年観た邦画の中では、文句無く一番ではないでしょうか?
内容もさることながら、出演者たちの並々ならぬ入れ込み方がビシビシと伝わってきました。若い俳優さんたちが鎬を削って勝負している感じが、この作品の素晴らしさに繋がっているようです。主演の渡辺謙がいつもながらの隙のない演技をしているのですが、それに科学反応するかのように若い俳優さんたちがみな輝いています。
物語はある猟奇殺人事件からはじまり、その犯人探しが軸になり展開して行く。3つの場所それぞれに現れる過去が見えない怪しい青年たち。それぞれに何か得体の知れないものに追われているよにみえる。サスペンスタッチで進む物語は、私たちをグイグイと画面に引きずり込み最後まで目が離せない。緊張感の連続であっという間にエンディングへと走ってゆきます。この作品の深さは観ないと解りませんが、人間の中に誰もが抱える闇(怒り)を丁寧に紡ぎ出し私たちの中にもあると考えさせてくれる。そこを制御できるかが、人がひととして生きる境界線を作っていることでは無いでしょうか。ひとがギリギリまで追い詰められた瞬間にスイッチ(怒り)が壊れるそんな現実を突きつけられる怖い瞬間である。きっとだれもが少なからず抱えていると見終わった後感じました。「人を信じる事の怖さ、そして信じられないことの怖さ」作品はきっとそんなことを伝えたいのかも知れません。
3つの舞台(東京・千葉・沖縄)が交互に映し出され、そこで生活をする人々の暮らしが映し出される。出てくる人々はみな懸命に生き、決して裕福ではないが小さな幸せをもとめ日々過ごしている。そこに突然現れた3人の青年(森山未來・松山ケンイチ・綾野剛)。だれもが怪しいが、だれもが悲しい。三者三様の背景があり、すべては明かされない。だが、間違いないことは3人とも満たされていないということ。
ひとりでも多くの人に観てもらいたいと、本当に思える作品です。3人の青年が見事です。そして関わるすべての俳優さんたちが、しっかりと役を演じきり作品に厚みをましています。出演者たちがまるで演技力を競っているかのように・・・。
”怒り”というタイトルはすごいインパクトを感じます。原作の吉田修一さんの作品は、作品名にあまり余計な肉付けをしない。きっと流儀なのだろう。ストレートなタイトルなのに、そこには緻密な計算が仕掛けられている。そんなところが映像作品には、たまらない題材なのかもしれません。
犯人は最後の最後でわかるのですが、3人ともいい人に見えこころのどっかで「この中に犯人はいないで!」と願っている自分が映画館の中にいました。
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by eddy-web | 2016-09-22 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
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