2016.Sep.05
しばらく間が空いてしまった映画鑑賞。観たい作品がなかったのは事実だが、ちょっとご無沙汰。久しぶりに選んだ作品は鶴橋康夫監督の話題作“後妻業の女"。監督はTV出身で手がけた作品は数多い。が、映画はこの作品で3作目。原作は直木賞作家・黒川博行氏の「後妻業」。高齢化社会のこれからにメスを入れたリアルな作品である。観た後の感想は、ちょっと予想に反した作品と言うか、イメージとは大分違っていたのはわたしだけでしょうか?
公開前の予告で観る限り、シリアスではあるがもっと笑いが絶えない作品だと思い込んでいたわたし。それは何と言っても出演者たちの顔ぶれが、芸達者な一癖も二癖もあるアクターばかりだったからである。会場内では笑い声も聞こえてはいたが、爆笑というのではなくクスクスと言ったかみ殺したようなものだった。やはり観客は高齢者が多く、自分たちの未来に照らし合わせているのかちょっと余裕世代のひとばかり。作品は面白いというか、流石の演技バトルに圧倒されるし見応えは抜群。主演の大竹しのぶさんは作品の中でも、バケモノ扱いされていますがまさに女優のバケモノ。凄過ぎます。このひと何をやらせても、そのひとになっちゃうところが半端ありません。今回の毒のある女は、彼女の普段のイメージからは想像も及びません。嫌な女の代表みたいな役ですが、こういう女に男は弱いのでしょう・・・。ただただ拍手です。相方の豊川悦司も負けじと裏側の人物を表現して、爽やかさを払拭し脂ぎった男を見事に演じていました。回りの出演者も短い出演時間にも関わらず、しっかりと存在感を出し切り物語に厚みをつけています。けっこう贅沢なキャスティングではないでしょうか?これだけでも観る価値ありです。
正直もう少しユーモアを優先したからっとした作品かと思い込んでいましたが、ものすごくリアルな作品で個人的にはあまり笑えませんでした。この作品舞台が大阪で、すべて大阪弁使用の物語。ここがポイントでもしこれが東京弁での演出だったらと思うと、背筋も氷る薄ら寒い怖い話になるのでは・・・。この作品で笑えるひとは、きっといま幸せなひとかも知れません。それか天性のお人好しと言ったところ。
“日本にもこんなに良い役者がいるんだぞ”という確認はできる作品ではないでしょうか?それにしても“しのぶ”さんは凄い!!