2016.July.29
待ちに待った“シン・ゴジラ”の公開です。初日に訪れまず驚いたのが、会場内のほとんどが中高年だったこと。そしてこどもの姿がないこと。時代はゴジラをもはや忘れてしまったのでしょうか?2014年にハリウッド版の2作目“GODZILLA"が公開され、なかなかの出来映えにちょっとハリウッドを見直したわたし。1作目があまりにひどくて、「ゴジラ」を馬鹿にしているのか!!と思ったものでした。そんなことで2作目も期待はしていなかったのですが、監督さんが大のゴジラファンだったらしくゴジラ愛を感じる出来映えで「ヤルナ!ハリウッド」と正直思いました。ハリウッド版は3作目・4作目も決まっていて、3作目では「ラドン、モスラ、キングギドラ」4作目では「本家キングコング」が登場するとのことでいまから楽しみです。
さて、満を持しての日本版「ゴジラ」、やっとの登場です。本家のゴジラがアメリカ制に負けてなるものかと、白羽の矢がたった監督は「エバンゲリオン」の監督庵野秀明氏。映像表現においての拘りは誰しもが認めるクリエーター。そんな監督が想像した“シン・ゴジラ”に期待は高まるばかり・・・。そして観た“シン・ゴジラ”。いままでのゴジラとはひと味もふた味も違っているのだが、原点であるゴジラのコンセプトをしっかり抑え時代に合わせた姿で深いメッセージを送ってくれました。娯楽色はさほどないが、わたしに取っては嬉しい生まれ変わったゴジラの勇姿がそこにありました。
話は飛びますが第1作目の「ゴジラ」は、昭和29年に公開されわたしと同い年。ただ単にファンという訳ではなく、同級生ということで同じ時代を生きてきた古き良き友。ゴジラはわたしたちに取ってはヒーローであり、昭和の時代を象徴する存在でした。はじめは反核を背景に、人類に対する警告とでも言うべき作品として生まれその姿、形相はまさに悪魔。それでもそれを生み出したのが実は人間だということに、とても重いメッセージが込められていました。途中高度成長期などの変遷を受け。顔もどんどん変わりいつのまにか、人類や地球を守る正義の味方になったものでした。それでもこどもたちは素直のそれを受けとめ、多いにそれを楽しみました。
ゴジラの話ははじめると尽きることがありません。まさに時代と共に生きた証の存在で、いまも沢山のファンがいることでしょう。
今作品“シン・ゴジラ"は1作目のレクイエムと、あらためて反核を訴える作品として登場してきました。ハリウッドの映像技術にどこまで迫れるかと心配もありましたが、ぜんぜん違うアプローチで画面に釘付けになりました。流石の庵野監督に拍手です。なみなみならぬ監督の思い入れが感じられる、素晴らしい演出で小手先ではないリアリティの追求にロマンさえ感じることが出来ました。CGではのぞめない感性がしっかりと納められ、やっと本当の「ゴジラ」にまた会えた喜びを満喫しています。このあと、日本版の「ゴジラ」がどのように時代を映し出してゆくのか解りませんが、生きてる限り寄り添って見届けたいと思っています。
P.S. 庵野監督は2012年公開の“エヴァンゲルヲン新劇場版:Q”の後、もぬけの殻状態に至り、制作意欲がわかずもんもんとした日々を過ごしたとパンフに書かれておりました。そんな時に依頼されたのが“シン・ゴジラ”の制作。はじめはそんな気分にはなれず断ったが、強い要望に応えるべくメガホンをとったと聞きました。そんなことも踏まえると、この作品への見方が少し変わるかも知れません。“エヴァンゲルヲン”の最終章もスタートしたと聞き、待ちどうしい限りです。