新緑で彩られた上野の森は、春爛漫。3月から開催されている「カラヴァッジョ展」を観に・・・。先月滑り込んで観たダビンチの“糸巻きの聖母”は記憶に新しい。その感動はいまもこころに残り、会場で手に入れたた公式図録を眺めてはただため息。それと同じくらい楽しみにしていたのが、カラヴァッジョの
“法悦(エクスタシー)のマグダラのマリア”との対面。総合TVでやっていた特集番組で紹介されたカラヴァッジョに画家としての凄さと同時に、人間としての生きざまに強く引かれたわたし。天才と呼ばれる画家は多い。彼もまた天才であることは明白である。そして画の世界で天才と謳われるひとの多くが変人で「○○と天才は紙一重」と良く言われる。38年で生涯を終えたカラヴァッジョは、そんな天才たちの中でも群を抜く変わり者のひとり。天才画家と同時に殺人者としても有名で、かなりの素行の悪さが記述に残されている。それでもまさかの殺人までは・・・と思いたいがどうやら事実らしい。作品は今回11点でそれ以外は、彼の影響を受けたであろうカラヴァジェスキ(継承者たち)の作品群。みな素晴らしいものばかりだが、やはり彼の作品は一目瞭然で技術だけにとどまらない異彩を放っているものばかり。内面から湧き出るこころの叫びが、画のひとつひとつから滲み出て訴えかけてくる。凄い!とにかく凄い。光と影の極端な表現技法駆使した、人物たちの表情はドラマチックを遥かに超えまるで生きているかのようである。こんな画を描く人間と殺人を犯す人間が同一人物なのである。画のひとつひとつに込められた、カラヴァッジョの叫びに触れることが許される良い機会である。ぜひ、足を運んでみてください。

カラヴァッジョの
“法悦のマグダラのマリア”は2014年に新たに発見され真筆と認定された晩年の作品。マリアの表情は言葉では言い尽くせないほど美しく、目から流れる一筋の涙には、いったいどんな意味が込められているのでしょうか?観た瞬間、鳥肌が立ち言葉を失ってしまうほど吸込まれてしまいます。