2016.Apr.18
今年度アカデミー賞の作品・脚本のW受賞をした“スポットライト”を鑑賞。並みいる強豪作品を押しのけ、見事W受賞した社会派ドラマです。最近の作品は実話ものが多い中、この作品も2002年に起きたボストン・グローブ新聞社が掲載した記事を題材にした“世紀のスクープ”が題材となっています。全体にはとても重い内容で、世の中の不条理が浮き彫りにされる。テーマはジャーナリズムに問われる正義とは・・・である。最近日本でも報道規制などが国会で飛び出し、メディアの将来が不安視されています。そんな時にこの作品は、ジャーナリストのひとはもちろん一般人もいろいろと考えさせられるテーマを含んでいる。正直楽しい作品とは無縁で、見終わった後の気分もすこぶる重たい。だが、メディアの持つ力の大きさを再認識させられる。掲載記事が正義となるか悪となるかは、紙一重なのかも知れない。(スポットライト)編集チームのジャーナリストとしての命がけの挑戦が、描かれているが根底にはジャーナリスト以前にひととして何をしなければ行けないのかを問いただす。困難な取材と政治的圧力に屈さず、巨大権力の大罪を暴いたチームの奇跡はこれからも存在するのだろうか?きっとここまで大きな話は無いにしろ、裏側で動いている権力との闘いはきっと沢山あるのだろうと思うわたし。TVで第二次世界大戦時に日本で行われた、情報のコントロールが取り上げた番組があった。その時の教訓を生かし日本は再生して来たが、いままたジャーナリズムとは?を改めて考えなくてはいけない時代が来ているとコメントしていました。なんか話が飛んでしまいましたが、こんなにも考えさせられる作品も久しぶりです。報道の自由に科せられた真実を追求するジャーナリズムの役割の重さと責任。そんなことを痛感させられるだけでなく、一般人の自分たちもしっかりと情報を分析する確かな目とこころを持たなければならないと実感しました。
出演の俳優さんたちの見事な演技に、思わず胸が熱くなるシーンが沢山ありました。中でもチームリーダーのロビー役を演じたマイケル・キートンの場面で、新実を追求することを見過ごしてしまったことへの反省するシーンがとても印象に残りました。新実を暴くだけでなく、多くの犠牲をも覚悟で進んだ道のりの中、自らの責任を問う姿がズシンとこころにきました。キートンは昨年の“バードマン”に続き素晴らしい演技で、いよいよ円熟期に入ってきました。わたしは初代バットマンの頃から大ファンです。監督・脚本のトム・マッカーシーは元俳優さんと聞きビックリ!“ラブリーボーン”“父親たちの星条旗”に出演してたとのこと。すみません気づきませんでした。監督として5作品目と聞くこの偉業は、拍手です。これからも良い作品を創ってください。