2016.Jan.20
今年最初に選んだ映画は、名匠スピルバーグ監督と名優トム・ハンクスが組んだ4本目の作品。2015年度最もアカデミー賞に近いと言われている作品は“ブリッジ・オブ・スパイ”。実話に基づくストーリーは、あわやアメリカとソ連の核戦争勃発をも予感させる張りつめた緊張感が詰まっていました。冷戦時両国のスパイ合戦がこれほど熾烈極まりないほどのものだったのかが、今更ながら伝わる重厚な作品である。作品の見所は何と言っても、この緊張感の中ひとり平和を願いひたすら誠実に自分の仕事を貫いた男の物語と生きざま。そしてソ連のスパイとして拘束されたルドルフ・アベルとの友情。このふたつが重なりあい、世界の終わりは回避されたと言っても過言ではない話である。先日某TV局のドキュメントで、世界大戦時のスパイ活動が浮き彫りにされ、秘密時の動き情報を盗むことがどれくらい重要でそれにより戦争の歴史が創られたことに驚かされました。007を代表とするスパイ映画は観客を魅了していますが、現実のスパイ活動は想像を超えた過酷で重たい任務だと言うことが解る今回の映画でした。アメリカで捕らえられたソ連のスパイ・アベルを演じたマーク・ライランスの物静かで淡々とした演技が凄い。その揺るぐことのない信念はいったい何処から生まれるのだろう。そんな彼の弁護を託された国選弁護人ドノヴァンを演じたのが、トム・ハンクスである。国を越え弁護人としての仕事を全うする男のひたむきさに、こころがうち震えます。自国を敵に回してまでも、命を尊び真の平和のため身を差し出す行動力には頭が下がります。物語は最終章のスパイ交換へと繋がるのだが、もしこの時ほんのわずかなボタンの掛け違いが生じていたら・・・。世界は終わっていたかも???と思うととても怖い。この作品しかりできっともしもあの時・・・みたいな出来事は私たちの知らないところで、いままでもそしていまもきっとあるのだろう。また、平和の尊さとその意味を考えさせられる作品に出会いました。パンフにアベルとドノヴァンの実写真が載っていましたが、演じた2人がそっくりなのにはちょとビックリ。きっと演じた2人の名優が、成りきった証なのかも知れません。この歴史ヒストリアに足を運び、どんなに過酷な状況でも最後まで真摯に生きるさまに触れてみてください。