
2015.Dec.28
遅いアップになりましたが年末に観た“CREED”の感想です。クリードと聞いてすぐにピンとくるひとは、よほどのロッキーファン。そうロッキーの宿敵アポロ・クリードのことである。映画ロッキーは全部で6作品創られ公開されましたが、私は4までは鑑賞しましたがその後は観ていない。正直いって見る度に、作品の質が落ちて行くことが残念で6のファイナルまで辿り着くことを放棄しました。人気シリーズ作品とは酷なもので、どうしても比べてしまう。物語を無理矢理繋げていき、そして監督をかえたり様々な手法で二匹目のドジョウをと画策するのだが・・・。ほとんど思惑通りにはならないのが事実。5作目以降観ていないので何とも言えないがそれでも4作目あたりまでは、正直けっこうワクワクし楽しめたものだ。ただ見る度、流石に勢いは落ち5作目に至っては足が向かなかったわたし。
ロッキーの一作目は実にシンプルなストーリーで、まさにアメリカンドリームを再現したエンターテイメント作品。スタローンがTVで観た、世界ヘビー級タイトルマッチ「モハメド・アリ対チャック・ウェプナー」戦を題材に、自らの私生活とウェプナーを重ね合わせ3日で書き上げた脚本は周知の事実。自身の主演でプロダクションに売り込むも、なかなか受け入れられず脚本料を破格の値にさげようやく契約が結ばれ映画は完成した。当時ベトナム戦争介入で失墜したアメリカの誇りが、この映画により復活をとげたとまで評価された。現実に目を背けたた若者たちに、再び希望の灯をともしたのは間違いないようである。いや、アメリカに限らず世界中の若者のこころを揺さぶり掴んだに違いない。スタローン自身この作品で一気にスターダムに上り詰めハリウッドの顔となりました。そして作品はその年(1976年)アカデミー作品賞を受賞するなど多くの映画賞に輝き、まさにすべてがアメリカンドリームなのである。
さて、今作はそのロッキーのスピンオフ作品。ロッキーが主人公ではなく、あくまでもサブの脇役である。そして作品もロッキーとは違い、言っては何だが地味で真面目である。多少ロッキーをリスペクトしたシーンはあるものの、それは想定の範囲いないである。アポロが残した忘れ形見の息子がロッキーの前に表われ、ボクシングを教えてくれと訪ねてくるところあたりからやや怪しい感じになったが、決してお涙頂戴的でもなく純粋にボクシングに掛ける若者の姿が描かれ美しい。ロッキーに頼ること無く、ひとりの若者の夢へのサポートに徹したスタローンの立ち位置が上手く使われなかなかいい作品になりました。ロッキーを知らない世代の人が観ても、ちゃんと伝わる夢に向う姿勢の大切さが伝わります。主人公アドニスを演じたマイケル・B・ジョーダンのナイーブな演技も見事でしたが、スタローンの渋い演技にはちょっと驚かされました。肉体派として数々の作品に出て来た人なので、そんなイメージで観てしまいました。私自身に“喝ッ!!”といれてしまうほど見事な演技でした。なんだかこれからのスタローンが楽しみになってきました。失礼なことを言ってしまい申し訳ありません。もともと大ファンの私ですので、主役のスタローンしか観たことがないのでこんないい方をしてしまいました。これから脇役でもどんどん出て活躍してくれると個人的には嬉しいです。映画会社はそうは行かないでしょうが・・・。