2015.Jun.01
6月に入り厳しい暑さが続いております。本日は作品を発表する度、未来について考えさせられるニール・ブロムカンプ監督の“チャッピー”を鑑賞。SF映画というジャンルに新しい風とも言おうか、今までにない発想で近未来を想像してみせる監督。いま人類が抱えるさまざまな問題を、そのまま未来に投影しサイエンス(ノン)フィクション映画とでも言える新しいSFジャンルが・・・。アクションやアドベンチャーと言ったワクワクドキドキ感だけのSFはそこには存在しない。第1作“第9地区”では低予算にも関わらず、多くの賞に輝き世界の注目を集めました。エイリアン移民と人間の共存というテーマで、いまも続くアパルトヘイト問題を物語に組み込み、斬新な切り口でわたしたちにあらためて差別の意味を問うてきました。この作品は、その年のアカデミー作品賞・脚本賞にノミネートされ弱冠30歳の監督はいきなり才能を開花し世界が注目する監督となりました。さらに第2作“エリジウム”でも勢いは止まらず、貧富の格差社会にメスを入れ未来を創造してみせました。SFにも関わらず、なにかリアルで現実味をおび、まるで人間たちに警報を打ち鳴らすかのような作品に仕上げてみせました。今までのSF作品にはない、きっと来るであろう現実の未来を実に丁寧に表現し、ある意味怖い・・・。人類がいまいちばん考えなくてはいけないことを、目の前にプレゼンされているそんな気がします。
そして、今回の“チャッピー”。監督の一環したテーマはさらに深まり、人類がいずれ辿り着くであろうロボットとの生活を描いている。そのロボットにもし人間の感情が組み込まれた時、はたして社会はどんなかたちに変化して行くのだろうか?というのがテーマ。開発が進む人工知能(AI)を、ロボットに組み込むという発想の話は今までも多い。スピルバーグが描いた“AI"はまさにそのもの。大好きな作品のひとつに数えられるそれは、やはり人間の都合で創られそして壊されるロボットたちの悲劇が描かれている。身勝手な人類への警告をファンタジーにし、こころに沁みる映画となっていまも記憶に残っています。テーマはいっしょだが、“チャッピー”はより現実的でそんな先の話ではないリアルさに溢れている。きっと観れば、考えざるをえない未来がそこに横たわっていること間違いなし。「AI」は人類にとって是か?非か?を問いかけるこの映画。ラストを観た後でゆっくり考えてみましょう。
P.S. シガニー・ウィーヴァーとヒュー・ジャックマンというSFには欠かせない俳優が脇をかため、ロボット“チャッピー”が頑張っています。まるで人間のようで話が進むにつれ感情移入が激しくなり、最後は人間にみえてきます。もうひとつ、実名でその筋では有名なラップグループの“ニンジャ”と“ヨーランディ”という2人が強烈な個性で“チャッピー”とタッグを組んで大暴れ。容姿はもとより、ものすごいインパクトのイッチャてる役を演じて(たぶん素)いました。また、挿入されている彼らの音楽も印象的で耳について離れません。残念ながら全く存じ上げなかったわたしですが、しっかり胸に刻まれました。