2015.May.28
本当に久しぶりの展覧会である。学生の頃は、足しげく通った上野の森。思えばはじめて行った展覧会が上野で開催された「ロダン展」である。6歳年上の姉につれられ、はじめて美術展を観たのが上野の森美術館。あれから50年以上もたってしまいました。今回はもう死ぬまで観ることの出来ないであろう、「鳥獣戯画」をこの目に焼き付けるべくやって来ました。木曜日だというのに、相変わらず上野は賑やかだ。駅から匂い立つ新緑の森を抜け、会場となる東京国立博物館に・・・。入場券を購入する際、窓口で“ただいま大変混雑していて160分待ちの状態ですがいかがなさいますか?”と聞かれた。当然ここまで来て帰るはずもなく、いざ会場へ。ついてビックリ!いきなり玄関前は長〜〜〜〜い列。流石の人気というか、私同様死ぬまでに一度拝んでおきたいと思うひとたちなのだろう。何かを獲るには、それなりに時間を使わなければいけないんだということをしみじみ感じました。作品はそれは素晴らしく、平安〜鎌倉時代と受け継がれた墨画の絵巻物。教科書で一度は目にしたことのある有名な画。その筆捌きの見事さに思わずため息。何百年もむかしに描かれたものが、いま目の前で踊っているのです。ただただ凄いのひとこと。ウサギ、カエル、サルなどが擬人化されユーモラスに躍動する姿は、「日本最古の漫画」とも称されている傑作である。作者はいまだ謎のこの巻物で、甲・乙・丙・丁と呼ばれる全四巻からなる国宝。各巻は時代も違い、甲の巻が最も有名だがそれを継承し時代を写し取っている大作絵巻。高山寺に伝来したのでさえ、いまだ解明されてないとのこと。画を観ながらいつ、どこで、だれがなんて思いをはせるのも、古いものでしか味わうことの出来ないロマンかもしれません。ミステリーの要素もふくまれ、実に興味深く観ることが出来ました。冥土の土産にいかがでしょうか?

P.S. それにしても待ち時間の長いのには参りました。実質見学した時間は多分1時間。11時に会場に着き、出たのが4時半。もうお解りかとおもいますが、ある意味苦行だと思いお出かけ下さい。会場ではそちこちで倒れたひとがいました。ご年配の方は特に注意が必要かと思われます。みなさんお気をつけて・・・。