2015.Apr.27
久しぶりの北野監督作品の登場。予告編を観ていた時から、楽しみにしていたこの映画。世界の北野とまで言われるようになった、北野武監督の最新作は・・・。観て率直に思ったことですが、監督が今まで撮って来た作品とはひと味もふた味も違うと言うのがわたしの印象。北野監督はどちらかと言うと、とてもナイーブなタッチでこころの描写を演出し強烈な印象を残してきたように思える。例えそれがバイオレンスに富んだ過激な作品であれ・・・。毎回テーマに沿ったメリハリのある構成を得意としていて、どんなスチエーションの異なるものでもきちっと押さえ見る側を満足させてくれた。世界の北野と呼ばれるのも、その辺の拘りやメッセージ性がはっきりしていて評価されているように思う。特にヨーロッパでの評価は、いままでに取った映画賞をみれば一目瞭然である。芸人であるビートたけしと映画監督北野武、この二面性のギャップにみな酔い手のひらの上でころがされてしまう。
さて、そんな監督の作品“龍三と七人の子分たち”。あきらかにいままでの作品とは違う匂いを感じた。違うといっても北野ワールドは間違いないのだが・・・。ひとことで言えばこの作品、北野武作品というよりビートたけし作品と言えるのではないだろうか?たけし監督がまるで子供のように無邪気にやりたい放題楽しんで創った感が溢れています。人生の終わりもそう遠くない7人の元ヤクザが、社会に問う正義(義理人情)の話。バカバカしいほどはちゃめちゃで、集団で漫才をしているようである。くだらないけど笑っちゃう、いや笑わせられるというようなそんな感じで終わりまでつき合ってしまう。老人力強しとはこのこと。ただしこれはたけし監督の、現代に対する皮肉をこめた熱いメッセージとわたしは受けとめました。
いろんな意味で、「もっとみんなしっかりしろよ!!」って言われているような気がしました。もしかしたら、本当はこんな映画をず〜っと前から撮りたかったのかな???とちょっと思ってしまったわたしです。TV番宣としてこの映画に出ている近藤さんと中尾さんが出ていて、監督は何にもしてくれなかったと(笑い)呟いていました。なんか納得でした。ある意味凄いことだと思います。主人公の龍三役をやった藤竜也はじめ、近藤正臣、中尾彬など見るからに強面の危ないジジィたち。中にはいつ死んでもおかしくないようなひともおりました。あんまり友だちにはなりたくないけど、こんなジジィがいたら日本はもう少し平和、いやむしろ危ない国に???どっちに転んでもあり得ない、映画の中でのお話です。次回作がまた楽しみな北野監督作品でした。
P.S. へんなことを言いますが、劇中龍三親分がところ構わず放屁を連発するのですが、年を取るとみんなああなっちゃうんですかねェ〜。ちょっと心配になります。その音が耳から離れません。トホホッ・・・。
Shoji UEKUSA