2015.Mar.31
待ちに待った、」ラナ&アンディ・ウォンシャウスキー監督の最新作“ジュピター”が公開になった。“マトリックス”以来の初完全オリジナルストーリーと聞けば期待に胸が躍る。内容は地球がある王朝(アブラサクス家)の所有物で、そこで暮らす人類は作物のひとつと言う設定で発想がまずユニーク。その王朝で良くある権力闘争がおこり、ある運命を背負い生まれてきたひとりのヒロインとその人を守る戦士が繰り広げる、SFアクション超大作が幕をあける。これだけ聞いただけでもワクワクドキドキ。ましてウォンシャウスキー姉弟の作品となれば、気持は高まるばかり・・・。
さて、感想です。オリジナル・ストーリーとは言うものの、多くのSF作品にある設定と似た部分は否めない。だが、それらも
スケール大きさとクリエイティブな視覚効果で圧倒されてしまう。スタイリッシュな演出は流石のひとこと。舞台美術や衣装、メイクなど内容以外でも観るところは多い。このような壮大なスケール作品は、この2人にしか創れないと思わせてくれる。イマジネーションの豊富さにいつもながら驚かされる。このような作風は「スペースオペラ」というジャンルに分けられ、“スター・ウォーズ”などがこの代表作になる。宇宙を舞台にした冒険活劇は大衆娯楽の王道。そんな作品がようやく復活である。“スター・ウォーズ”も撮影がはじまり、ファンは待ち遠しくてたまらない。今回のヒロイン(ジュピター)&ヒーロー(ケイン)は、2012年にPeople誌が選んだ「最もセクシーな男性」第1位と、同年Esquire誌の「最もセクシーな女性」第1位を獲得したふたりの共演。ご覧になれば解るが、ミラ・クニス(ジュピター)もチャニング・テイタム(クリス)も確かにセクシーでカッコイイ。また、敵役のバレムを演じているのが、今年度見事オスカーを手にしたエディ・レッドメイン。彼は“博士と彼女のセオリー”でスティーブ・ホーキング博士を繊細に演じてオスカーを手にしました。残念ですがわたしはその姿をまだ観ておりません。来週にでも早速観に行こうと思います。今回の役でも、もの静かな滑舌の中に内に秘めた野望と冷徹さが滲みでていて、優男の出で立ちに反する怖さが観るものを圧倒します。こうしてみると、このキャスティングを含めウォンシャウスキー姉弟の作品への拘りが伺えます。撮影の裏話など聞くと、CGでは創り得ないリアルさに拘り俳優たちを宙づりにしたアクションシーンを、ヘリコプターから撮影スタッフを吊るして撮影したと聞きました。まさに命がけの緊迫感である。このあたりの拘りは、クリエーターとして称賛です。なんでもかんでもCG、CGではなんか嘘くさい。もうみんな気づきはじめております。昔の超大作、例えば“ベン・ハー”などの迫力ときたら今見ても凄い。昔の映画が色あせず今も観客を魅了するのは、魂の籠った命がけの撮影が行われていたからに他ならない。そういう意味でのウォンシャウスキー姉弟のアイデンティティは、これからもず〜っと続けてほしいし、信じております。時代がどんなに変わっても観客の度肝を抜く、スタイリシュな映像を創り続けてください。
ラストをみる限り、完結した風にも見えず次回作を期待してしまうわたし?みなさんはどう受けとめますか・・・。
Shoji UEKUSA