2015.Jan.05
たった一日あけての映画鑑賞。お正月ですから、今日はわざわざ銀座までお出ましです。前評判の高い“6さいのボクが大人になるまで。”がその作品。なぜ、評判かと言えば、この映画は主人公メイソン(6歳)の子どもから大人(18歳)へと成長していく過程のドラマですが、なんと主人公並びに家族のキャストを本当に12年間撮り続けたというもの。いままでにない製作手段で、当然リアルな表現となりある意味ノンフィクションを観ている感覚になる。ひとりの少年とその家族の成長が、少年の眼をとおし描かれているこの作品。まず監督とスタッフの熱意というか継続する忍耐に拍手である。12年間は凄いです。2時間ちょっとの作品の中に12年間の出会い、別れ、葛藤、執着などなどがギュッと詰まっています。人生って・・・と考えさせられる。
『絆』みたいな奇麗ごとでは表せない、もっと深い真実の繋がりに出会いました。
一昨日観た作品“あと1センチの恋”も12年間を描いていましたがこれは偶然。こちらはメイクやヘアー、衣装でその時間の流れを描きだしたもの。くらべるものではないが、“6さい・・・”のほうが、主人公の容姿がどんどん変わり、まるで別人のように観えたのにはビックリ!!ヘアースタイルや衣装は当然ですが、体系や顔の感じがどんどん変化し確かに現実的。ちょっと余談だが、会場を後にする時観客のご夫人二人づれが「あの男の子、随分かわっちゃたネェ〜っと」話していました。どういう意味かは想像にまかせます。
この作品もサブカルチャーを実に巧みに取り入れ、時の流れを表現しています。ファッションはもとより、TVやゲーム、ビンテージカーそして音楽などそのときどきの流行をさりげなく演出効果として使っています。アメリカと日本の文化や考えの違いは多少ありますが、わたしの感想は「人生は小説より奇なり」と感じたこと。どんな人にもいい時も悪い時もある、それが大きかったり小さかったりはあるが比べるものでもなく平等にそして確実にあるという事実。だから人生は意味深く、ひとを成長させる大切な時間なのである。この映画はそんなことを教えてくれます。それにしてもアメリカという国はおおらかと言うのか、別れた夫婦が互いに再婚しても付き合える関係を保てる。これは凄いことです。なかなか真似出来ません。それは同時に子どもへの深い愛を感じさせてくれました。
主人公メイソンを演じたエラー・コルトレーンは幼年期のあどけなさから少年期の不安、そして青年期の夢と現実の狭間など、見事に演じきりました。幼年期は言われるまま演じたが、最後はまるでメイソンが自分自身のように感じたと感想を述べています。12年はそれほど重かったのでしょう。あと特に印象深かったのは、母親オリヴィアを演じたパトリシア・アークエットの存在感。圧倒されました。母そして女としての性や慈愛など、ほんとうに迫力ある見事な演技でした。父親メイソン・Sr.を演じたイーサン・ホークはこれまた味のある父を演じ、憎めない父親像を創り上げています。流石名優。このお父さんはチョット的外れなとこもありますが、こどもに取っていい父親だと思います。妻・母から観ると?!?!? ウゥ〜ン!私からは言えません。わたしはこのお父さん大好きです。最後にもう一度、12年間ご苦労様でした。拍手です。
Shoji UEKUSA