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よもやまシネマ-176 フューリー
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2014. Dec. 01

アカデミー賞最有力候補の呼び声高い、話題の新作“フューリー”を鑑賞。ブラッド・ピット主演の戦争アクション映画の今作。作品は確かにアクション・シーン満載の映画にはなっているのだが、わたしはこの作品にはアクションという言葉を使いたくない。なぜならそんな作り物的言葉は似合わないからである。第2次世界大戦末期、極限状態の中で必死に生きようともがく人間ドラマが、リアルに描かれているからだ。
戦争映画というジャンルもさまざまな角度から描かれ、ひとくくりにするのは非常に難しい。例えば古くは「大脱走」や「西部戦線異状なし」「戦場に架ける橋」にはじまり、「地獄の黙示録」「ジョニーは戦場へ行った」「ディア・ハンター」「プラトーン」「ライフ・イズ・ビューティフル」「プライベート・ライアン」などなど。あげれば切りがないほど名作ぞろい。そしてわたしの好きな「禁じられた遊び」だってこのジャンルに入る。
時代背景や切り口、そして視点の違いで多種多様な表現が生まれる。娯楽を追求したものから、リアルな反戦ものまでさまざま。ただ、どちらにせよ名作と呼ばれる作品は戦争を肯定してはいない。この映画は、間違いなく戦争映画の名作と呼ばれるであろう作品である。
物語の大半はたった24時間の間におきる、過酷な戦場で闘う一台の戦車と兵士たちの壮絶な生きざまはまるでドキュメント。最近のCGものとは明らかに線をひいた、超がつくほどリアリズムを追求した作品となっている。導入部はややオブラートにくるんだミステリアスな演出ではあるのだが・・・。その演出が中身を逆に強烈に印象づける。爆弾が炸裂し、銃弾が飛びかい手足が飛び散る。まさに本当の戦争がそこにある。無造作にブルトーザで埋められて行く兵士の屍処理は、見る側が思わず目を覆いたくなる。だが、これが現実と言わんばかりの表現で、背筋が氷る。感覚が麻痺する状況と、その中でもがきながらひたすら生きる人間がそこに描かれている。見終わったあとに去来する、恐怖とひとが犯す大罪に身が震える。何で戦争は起こるのだろうか?などといまさら考えさせられる。
プラット・ピットはこの映画で、本当に素晴らしい演技を見せてくれる。リーダー(ウォーター・ダディー)としてのクールな役割と、それ故に抱える深い憂いを見事に演じ分け胸を打つ。黙々と任務を遂行する強い意志の中、じわじわとにじみ出る人間としての誇りを見事に演じている。他の4人も個性豊かで、味のある連携でこころに残るチームワークを見せる。特に印象に残ったのは、新兵ノーマンを演じた、ローガン・ラーマン(ノア・約束の舟に出演)。ナイーブな青年を表情豊かに演じ、強い印象を残る。これからが楽しみな俳優さんである。24時間という一日が、これほど重くそして長いものなのかと久しぶりに気づかされた。濃い一日である。こんな日が何日も続いたら、きっと頭が変になってしまうだろう。馬鹿なことを言いますが、つくづく平和のありがたさが身に沁みます。世界のどこかで今日もこんな時間が過ぎているのかと思うと、こころが苦しくなります。
P.S. ラストシーンは、ほんのちょっぴり救われました。どんなところにも人間の尊厳は守られ、守るものがいると・・・。合掌。戦車が主役でもある“フューリ−”。使われた米軍のM4A3シャーマンも独軍のティーガⅠもすべて本物。博物館から借りて撮影に臨んだと聞きました。ティーガⅠに関しては世界に6台しか残っていない貴重なもの。ましてや動くのは奇跡らしく、博物館げ動くようになるまで約15年の歳月を要したそうです。それにしても、凄い戦車だとは映画を観れば一目瞭然。出来ることならこんな兵器は生まれないことを望みます。
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※映画を観たあと、大切にしている一冊の本を思い出しました。題名は「百年の愚行」。100枚の写真と寄稿文で構成されたもの。そこには20世紀に人間が犯した大罪がまとめられています。みなさん機会がありましたら、ご一読を・・・。
Shoji UEKUSA
by eddy-web | 2014-12-01 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
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