2014. Nov. 10
ギンレイ2作品目は、観たかった“グランド・ブタペスト・ホテル”。タイトルからしてちょっと怪しいですね。この映画の紹介を雑誌記事で読み、なにかアーティステックな感じを受け興味をそそられました。ステール写真などをみると、なにか独特な雰囲気と衣装や舞台美術などのビビットな色使いが目に留まりました。フランス映画の“アメリ”のようでもあり、ティム・バートン監督の世界感のようでもありと・・・。監督はウェス・アンダーソンというひとで、アカデミー賞にも何度もノミネートされているらしい。わたしははじめての鑑賞になる。独自の世界観とユーモアを合わせ持つひとで、この作品はオリジナルで発案から、脚本・製作・監督とマルチな才能を発揮。映像美へのこだわりがこの映画からも読み解くことが出来る。日本のソフトバンクのCM(ブラピが出演)などを製作したのも監督らしい。
“アメリ”もそうだが、この手の映画は好みがはっきり分れてしまう。ちょっとブラックなユーモアに包まれた、大人のお伽噺ってところでしょうか。どんなジャンルにも当てはまらない、不思議な作品とだけ言っておきましょう。キャスティングも豪華だし、舞台美術や衣装などセットにかけたもの造りへの拘りは半端ではありません。それだけでも充分楽しめます。空想の世界で造り出されたホテルは、まるでお菓子・・・。実際に精巧なミニチュアのセットを創っての撮影と、アニメと実写などを組み合わせた手法で作られたこの夢物語。立体絵本の中にでも、迷い込んだ錯覚を覚えます。ホテル内の装飾品などにも拘り抜き、モダンさ色使いとクラシックな建築美にため息がでる。ワンカットワンカットがまるで絵はがきを観ているよう。こんなホテルが実在したら、ぜひ行ってみたいと思う女性は多いはず・・・。
物語は昔話を紐解くかたちで、はじまりホテルの成り立ちや歴史へと進んで行く。癖のあるキャラも多いが、このホテルには違和感がない。むしろピッタリ。主演のレイフ・ファインズ(シンドラーのリスト)を筆頭にエイドリアン・ブロディ(戦場のピアニスト)、ウィレム・デフォー、ジェフ・ゴールドプラム(先日観たウィークエンドはパリで)、ハーヴェイ・カイテル(ピアノ・レッスン)、ジュード・ロウ、ビル・マーレイと超豪華な顔ぶれに改めてビックリ!!ジュード・ロウなどは自分から売り込み、作品への出演が決まったとのこと。俳優さんたちが出たいと思う、そんな作品を創るクリエーターなのだろう。独特な美的感覚のこの監督にこれからも注目したい。
P.S. 蒼々たる男優たちにまみれ、アガサ役に挑んだシャーシャ・ローナン。頬にちょっと変わったアザがあるパテシエールを演じ、とても可愛いと思っていたら“ラブリー・ボーン”に主演した蒼い瞳のあの子でした。ちょっと大人になったようです。彼女もアンダーソン監督の大ファンだそうです。
※2本観た映画の私的軍配は・・・インサイド・ルーウィン・デーヴィス。あくまでも好みです。
Shoji UEKUSA