2014. Oct. 31
さて、今回はドラキュラ映画です。最近の作品でヴァンパイアを題材に描いたものと言えば、やはり“トワイライト”。吸血鬼と人間の少女との純愛を描いたベストセラー小説の映像化。シリーズ化され、かなりの興行成績を納めました。わたしもすべて鑑賞し、結構楽しませてもらいました。その他にも、ブレイドシリーズとかアンダーワールドシリーズとかいろいろありましたが、みな本来の吸血鬼ものとは一線をひいた新しいスタイルの映画ばかり。ドラキュラ映画はもともと怪奇映画として創られ、俳優クリストファー・リーが演じたシリーズが何と言っても有名。真夜中に棺から目覚め、夜な夜な美女を襲い生き血を啜るというのが定番。十字架が苦手で太陽の光を浴びると死に、後は心臓に杭を打ち込まない限り殺すことが出来ない。青白い顔に黒マント。リーはこのイメージが定着し、その後それを払拭するのが大変だったらしい。随分昔のことですが・・・。
さて、最新作“ドラキュラZERO”。諸説あるドラキュラ伝説の原点を描いた作品とのこと。数多く出版されているドラキュラ伯爵の物語で一番有名なのが、ブラム・ストーカーの原作もの。それをもとに描いたのがこの作品。15世紀半ばにトランシルヴァニア地方を統治していた、ヴラド3世という君主がモデルらしい。実在した人物の歴史と重ね合わせ生まれたのが、このドラキュラ伝説のはじまり映画。とても興味深い題材でこころ引かれましたが、ちょっと私的には肩すかしを食らった感じ。わたしだけかも知れませんが、もっと掘り下げた人物像を期待していました。割と淡々と物語も進み、まるでドラキュラの説明書を読まされたような感じです。ドラキュラになった理由やらは解ったのですが・・・。人間の時から敵を生きたまま串刺しにして並べ「串刺し公ヴラド」と呼ばれ恐れられていた人物の生まれた背景などもっと突っ込んでくれると良かったのですが。もちろんVFXで創られた映像は迫力があり、見応え充分で多いに楽しめます。また、衣装など装飾の演出なども素晴らしいものでした。ヴラドが着ていた赤い鎧の竜の文様が美しく印象に残り、のちにルーマニア語で「竜公または悪魔公」の意味が“ドラクレア”という言葉で最終的に英語読みの“ドラキュラ”となったことを知りました。そこまでこだわって見た目を整えたのなら、もう一歩踏み込んだ人物像を見せて欲しかったと思うのが感想です。さて、みなさんはどうでしょう。エンドロール後のチラッ見せの演出は???思わせぶりなのか、それとも・・・。Shoji UEKUSA