2014. Oct. 27
ここしばらくアクションものを観ていなく、大分こころの中に燻るものがあり満を持して“イコライザー”に・・・。アクション映画とは言え、主演はデンゼル・ワシントン。期待通りに満足感100%でした。ストーリーに目新しさは感じませんが、ワシントンの演技で重みのある作品に仕上がっています。黒人俳優さんたちの活躍は目覚ましく、アカデミー賞を獲るひとも後をたちません。もちろん彼もそのひとり。わたしが映画にのめり込んだ頃は、まだまだ根強い差別があり、なかなか黒人の俳優さんたちも今程活躍の場がなかったように思えます。そんな時“野のユリ”という作品ではじめて黒人俳優のシドニー・ポワチエがアカデミー主演男優賞を獲得。世界をアッと驚かせました。それは素晴らしい作品で、もちろん評価に値する名演技でした。今見ても感動します。内容も黒人差別がテーマになっていて、いろいろな意味で世界に一石をを投じた作品となりました。
さて、今回の“イコライザー”。ワシントンの渋い演技が光っています。簡単に解説すると、ハリウッド版「闇の仕事人」といったところ。似たような作品は今までも沢山あり、日本のTV「仕事人」の方がもしかしたら後発かも知れません。男たちはこう言うの、大好きです。映画のキャッチは“19秒で世の不正を完全抹消する”です。仕事をする前にタイムウォッチのスイッチを入れるのですが、ただただカッコいいです。主人公は生活も超地味で全く普通の人。日本のTVの主人公のように個性も全く出していない。そこが実にいい。会話のはしはしに知性がさらりと感じられ、でもそれをひけらかさない温厚さ。これはワシントンしか出来ない役だと思います。バイオレンスなアクションシーンも実にスマート。元CIAという設定はよくあるが、ヒーロー、ヒーローしていないこの地味さに大満足。シリーズ化されると嬉しいです。映画の中で好きなシーンが2つ。ひとつは夜のカフェで娼婦テリー(クロエ・グレース・モレッツ)とはじめて言葉をかわし話をするところ。穏やかな表情と静かな語り口で包み込むように会話をする。自らが背負ってきた重みみたいな、深い包容力を感じさせます。もうひとつは旧友のプラマー夫妻の奥さんスーザンとの会話。ここは、こころを知り尽くした友だからこそみたいな、自身のすべてをさらけ出す少年の顔を観せてくれる。ちょっと前に観た“2ガンズ”ではちょぴりお茶目な役を演じていた彼。毎回全然ちがう味を出してくれ、ますますファンになりました。また音楽の使い方がめっぽう上手で、作品に緊張感を持たせていたことを付け加えておきます。
P.S. 今回の映画と同種のリアルで緊張感のある大好きな作品は“グロリア”(ジーナ・ローランズ主演)と“レオン”(ジャン・レノ主演)。このふたつが追随を許さなかったのですが、今日もうひとつ作品が加わりました。拍手!!
Shoji UEKUSA