

2014. Oct. 16
いつものパターンで、鑑賞前の情報をいっさい入れない映画鑑賞。作品は“ジャージー・ボーイズ”。なんと監督がイーストウッドだったことすら知らず観てしまった。感想ですか?そりゃいいに決まってるでしょ!
この作品は1960年代、全米ヒットチャートを席巻したバンド“ザ・フォー・シーズンズ”の栄光と挫折、そして再生を描いた物語。もとはブロードウェイの大ヒットミュージカル。ミュージカルとイーストウッド???って大丈夫・・・。みなさん心配ありません、流石のイーストウッド監督と観た後、間違いなく思うはず。イーストウッド監督はこの時代を描いた作品が実に多い。自分が駆け抜けてきた青春時代と、夢を追いかけ懸命に生きてきたそんな深い思い入れがあるのでしょう。キャストはこの映画ではじめて観る俳優さんばかり。だがグループの4人中、3人はミュージカルで同じ役を演じた俳優さん。主人公のフランキー・ヴァリを演じたジョン・ロイド・ヤングは、この役でトニー賞をはじめ四大演劇賞をすべて受賞しているとのこと。まさにはまり役の折り紙つき。本当にすばらしかったです。歌も本物に負けない歌唱力で、高音のファルセットは痺れます。ミュージカルはあんまり得意な方ではありませんが、この映画は音楽は音楽で聞かせ、そして物語は物語できっちし描いてくれてます。これはイーストウッド監督の演出の凄さです。壮年の私たちには溜まらない名曲の数々が鏤められ、物語の深みをさらに上げてくれています。
タイトルの“ジャージー・ボーイズ”ってはじめ何だろう?って素朴に思っていました。そしたらアメリカのニュージャージーから生まれたグループからと単純明快。ジャージが似合う田舎の子が都会で成功を夢見る話、って具合に思っていたわたし。こんなこというと地方のひとは起こりますよね。いま、東京より地方の方がファッション情報は速いですから。ほんとバカなわたし。あっとちょっと話がそれました。
映画の感想ですが、「古き良き時代」なんて感傷的になっている場合ではありません。どんな時代でも生きることは大変で、喜びの数だけ悲しみや苦しみもいっぱい。だから一生懸命に生きることは悪くない。と最後に思わせてくれるそんな映画でした。主人公のフランキーと娘がお店でする会話シーンはウルッときます。夢を追い続けてものだから言える、強く温か〜い言葉でした。最後のエンドロールシーンはまさにミュージカル。でも、なんかこころが救われます。
P.S. スクリーンから溢れる往年の名曲「シェリー」、「恋のヤセがまん」、「君の瞳に恋してる」、溜まんないです!!!久しぶりにサントラ買っちゃおうかな。
あとひとつ、マフィアのボスをやっていたクリストファー・ウォーケン、渋かった〜ッ。エンディングシーンでは、ちょっと目が泳いでいたのが可愛かったです。“ディア・ハンター”の時から大ファン。これからもお元気で。
Shoji UEKUSA