よもやまシネマ-166 悪道日記
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2014. Oct. 09


今回観た映画は、かなり前から情報を入手し待ち望んでいた作品。原作はハンガリー出身の女流作家アゴタ・クリストフ。30年ほど前にフランスで出版された作品である。話の面白さが口コミで広がり、世界40カ国語に翻訳され大ベストセラーになったもの。わたしはまったく知りませんでしたが、映画を観てとても強く引かれました。この原作は、のちに第2部“ふたりの証拠”第3部“第三の嘘”と続きもちろんベストセラーに・・・。
この作品は原作者の幼少期の体験がもとになったもので、第2次世界大戦状況下のハンガリーとその隣国などが舞台となっている。わたしがこの映画がどうしても観たかった理由のひとつが、予告のPVで「映像化不可能と言われた原作」とあったから。読んでいないので何とも変な話だが、それを確かめるように劇場に足を運んだ。
戦争を背景にした名作は多い。“禁じられた遊び”を筆頭に“ボクの村は戦場だった”など好きな作品が多い。とりわけこどもが絡むと実にこころが揺さぶられ印象度が増す。今回の作品も一級品と言っていい出来映えである。ただ涙が溢れて胸を締め付けられると言ったものではなく、むしろ戦争の真の怖さがひとのこころまで変えて行くという現実味に感情がフリーズする。主人公を演じた双子が実にすばらしい。過酷な状況下で、ただひたすら生きようとする姿が脳裏に焼き付く。双子という設定だから生まれる、感受性の強さや弱さがより強調され胸を打つのかも。ふたりが預けられた疎開先のおばあちゃんが、また凄い存在感。原作とはかなり違う風貌だそうだが、見事な演技に圧倒される。ひとの絆をとことん意地悪く貫き、反面生きる本当の強さや優しさをさりげなく伝えてくれる。物語は過激でスキャンダラスな描写も多く、自然の美しさを逆手に取った演出は見事としか言えない。静かな描写が多く、会話も実に無感情なやり取りである。だがそれが実にリアルさを増し怖い。生きることへの執着が生む、究極の強さが描かれた名作かも知れない。時折見せる、無感情な少年たちのやさしさがこころにつきささる。
第二部、第三部と続編を期待したいが、聞けばその内容はまったく第一作とは異なる表現で驚かされるとのこと。そこが逆に読者を引きつけた原因らしい。第二部では、実は双子とあったがひとりの人間がふたりに成り済ましていた???なんて展開らしいです。こんな情報が入ると、ますます原作を読みたくなります。それととても残念なことですが、原作者のアゴタ・クリストフさんは、映画のクランク・アップ一年前にこの世を去りました。この映画の監督ヤノーシュ・サースに絶大な信頼をおいていたらしく、こころから完成を待ち望んでいたようです。きっとこの映画を観れば、納得し喜ぶことでしょう。
P.S. パンフレットを載せましたが、実に奇麗なデザインです。内容の過激さが嘘のような、やさしい表現ですね。考えるに“悪道日記”というタイトルも、ちょとファンタジーをイメージさせる。ある意味イソップの寓話と同じテイストなのかも・・・。
Shoji UEKUSA
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by eddy-web | 2014-10-09 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
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