

2014. Aug. 29
大好きな監督と女優さんが組んだ映画となれば、観ずにはいられません。今回は公開初日に頑張って観に行きました。映画は“ルーシー”。監督のリュック・ベッソンに出会ったのは“グラン・ブルー”。海洋ロマン映画とでもいうか、海をテーマにした、潜水夫の物語で実在の人物(ジャック・マイヨール)をモデルにしたそれはそれは美しい映像の映画。半分はドキュメントと言ってもいいようなお話で、本ものの海が持つ神秘性や美しさに引きずり込まれました。監督は海をテーマにした作品をこの他にも何本か創っていますが、略歴を観るとお父さん・お母さん共にダイビングのインストラクターとあり、その影響は間違いのないところ。本人も資格を持っているとのことです。二度目に会った作品は“ニキータ”。これはわたしには衝撃的作品で、“グラン・ブルー”とはまったく結びつかず驚きました。女性主人公のギリギリの精神状態の中から出てくる、本能のような強さに圧倒され本当にカッコイイとはこれだ!と思いました。そして、その後“レオン”“フィフス・エレメント”と続き、わたしの大好きな監督のひとりとなりました。“ニキータ”と“レオン”はアクション映画というジャンルに入ると思われますが、ハリウッド映画とは明らかに違い、なんと言うかフランス映画独特の匂いと気品みたいなそんなものを感じさせます。ひとの心理を巧みに紐解き、繊細さと大胆さで見事に紡いでみせてくれました。“レオン”ではジャン・レノとナタリー・ポートマンという俳優を、世界レベルに押し上げたことは間違いありません。
さて、今回の映画“ LUCY”。いま、一押しの女優スカーレット・ヨハンソンを起用しての物語。テーマも興味をそそられる「人類の脳は10%しか機能していない」という医学的検知を背景にもし100%と使えたら・・・どんなことが出来、そして起こるであろうと。こんなテーマに食いつかないSF好きはいません。冒頭から何やら怪しげなひとたちが登場し、矢継ぎ早に話が進む。事故のような運命で覚醒する主人公のLUCY。流れは“ニキータ”や“レオン”と同調するものがある。結末はいつものように伏せておきますが、個人的感想としてはちょっと???と感じてしまいました。監督自ら述べているようですが、映画を娯楽として最大限表現したいというのがこの映画。確かにそこは外れていません。ただハリウッドばりのド派手な演出とCGを駆使した映像表現は、もうちょっと食傷ぎみなのが本音のわたし。やり過ぎ感が強く、わざとらしいのと嘘くさい演出がどこか鼻についてしまう。その時は確かにワクワク・ドキドキするのですが、後に何も残らない。そんなことが多い作品が最近よくあります。それもあり(承知)では観てはいますが、ベッソン監督にはちょっと似合わないと・・・。深みのある独特の映像世界を創り続けて欲しいのが、正直な気持ちです。また、2人(ベッソン&ヨハンソン)のコラボももったいない気がし残念でした。はじめて知った頃の監督は、「容姿端麗+才能」を絵に描いたカッコ良い伊達男。ぜひ、最先端の技術に走らない、研ぎすまされた独自の感性を大切にし、カッコいい男や女を描いてください。失礼なことを言ってすみません。大好きな監督さまへ。Shoji UEKUSA