
2014. Aug. 26
(2本目)
“DALLAS BUYERS CLUB”が2本目の作品。1本目の“あなたを抱きしめる日まで”とこの作品には、共通点がある。人物設定の中に同性愛というテーマが描かれていること。一本目は隠し味的な要素だったが、ちょっと驚かされる。“DALLAS BUYERS CLUB”はまさにストレートの真っ向勝負。重たいが説得力のある力作である。こちらも実話がもとのドキュメントのような作品。1985年からはじまる、アメリカ・テキサスで起きたひとりのカウボーイが社会の偏見に身体をはって戦いを挑む物語。主人公のロンは、酒、女、博打とやりたい放題のダメダメ人間の象徴みたいな男。話す言葉も下品で汚くずる賢いが、どこか憎めない。そんな男に突然くだされた、余命30日の宣告。当時世界を恐怖のどん底に落した、不治の病エイズ(HIV)に彼の身体は自由を奪われた。エイズはその当時、同性愛者がかかるものと思われ異常なほど人種差別が深く強かった。
同性愛者でないロンはまさかと思って信じることができない。だが調べるうちに紛れもない事実と認識し、苦しみもがくことに・・・。いい加減な人生を歩んできたが、こんなことで死ねるかと生きるための行動がはじまる。テキサスはアメリカの中でも特に保守的な街。病気が知られるや、その日を境に偏見が、容赦なく彼の身体以上にこころを責める。ロンを演じたマシュー・マコノヒーはこの映画で、その年の賞を総なめ。アカデミー主演男優賞も手にした。身体だをはった凄まじく鬼気迫る演技に圧倒される。子の役を演じるために21キロの減量をしたと聞く。名を残す名優たちはみな、与えられた役のために20キロくらいは当たり前といった具合で、痩せたり太ったりする。すごい職業意識と言うか、本物の凄さを感じます。助演のトランスジェンダーレイヨンを演じたジャレット・レトも負けずの熱演でこころを揺さぶる。この2人なくして、この映画は成功しなかったと思う強烈なインパクトです。こういう物語は苦手というひとも、是非観てください。薬の問題などか絡み、知らなかった権力存在などがいろいろと見えてきます。
いま、エボラ出血熱がアフリカで猛威を振るい、ニュースで騒がれていますがHIVだってまだ終わった訳ではありません。問題はそのような病が出る度に、生まれてくる差別や偏見の事実。主人公は自分が当事者になって、はじめてそれに気づきました。本当はそれでは遅いのですが・・・。戦争や病気、自然災害と地球を被い尽くす沢山の問題。人間たちが犯した愚行の報いかも知れません。前に観た“ノア”ではないが、神がいづれ天罰をくだしこの世にたった一人のみ残す選択をするときが来るやも???まさかの選ばれたひとりとならないように、考えましょう真剣に・・・。絶対あり得ないことですが。Shoji UEKUSA