2014. Jun. 13
公開前より話題のスペクタル巨編“NOAH"を鑑賞。公開日の初回に足を運んだのは、予告で観た迫力にこころが動かされたからである。“ノアの箱舟”は旧約聖書の創世記に記されている話。だれでも知ってはいるが、その全貌は明らかではない。創造の世界にしても事実(?)だとしても余りにスケールが大きく、絶対に映像化など無理と思っていた。それがどうだろう見事に映画となって、わたしたちに人間という生きものについて改めて考える機会を創ってくれました。監督はわたしの大好きな映画“レスラー”を創ったダーレン・アロノフスキー。映画“ブラック・スワン”で高く評価されその名を不動のものにしたひと。映像美への拘りに加えて、その主題を監督自らが脚本化し、観客をも巻き込む形の演出には計り知れない創造力を感じます。今回の作品はその創造性を形にするだけでも凄いことなのだが、わたしたちに“人間とは”を問いただすテーマを投げかけてきます。人間の弱さ、強さ、そして醜さや健気さ、そして慈愛。人の中にあるすべて煩悩をヒューマンドラマとして、主人公ノアに被せ表現されています。また監督は実在しない人物をも投入し、聖書の内容をより興味深く膨らませ楽しませてくれました。最大の見せ場は何と言っても「大洪水」のシーン。凄いとしか言いようのないクリエイティブな映像表現でした。動物たちが何処からともなく集まってくるシーンは圧巻。だがこの映画の見所はそこではないと、みな思うに違いありません。ノアの苦悩を通し、人間とはなんと罪深く、そして幾度もの愚行を繰り返す生きものなのだろうと・・・。主人公を演じたラッセル・クローの迫力ある演技はノアに完全に乗り移っていました。聖書には出てこない妻ナーマを演じたジェニファー・コネリーもうまいのひと言。ノアとの命の尊さを語るシーンでは見いってしまい、涙が止まりませんでした。あともうひとりは、この物語のキーパーソン、イラの存在。演じたのはエマ・ワトソン。みなさんご存知のハーマイオニーそのひと。彼女は名優二人を向こうに回し、負けない存在感を出しきりました。きっとこの映画を通じ新たなファンを獲得するに違いありません。拍手です。長〜い映画ですが、時間の経つのを忘れるほど引き込まれてしまう。人として日頃の罪深い行動を、今一度見つめ直し、悔い改めるいい切っ掛けになるかも・・・。いや、やっぱり無理ですかネ。だってそれが人間なんですよきっと。それでも考える時間をくれた、この作品に感謝です。
P.S. ジェニファー・コネリーの上品な美しさは健在。“ワンス・アポン・ア・タイムイン・アメリカ”のデビュー時、「こんなに美しい娘が世の中には存在するのか」と驚いたものでした。