2014. May. 29
久しぶりに疲れました。というのは、一日に2本続けて映画を鑑賞したせいと、2つとも内容がとても重い作品だったので・・・。むかしは一日5本観た時もありましたが、遠いむかしの話。年を重ねる度、集中力が薄らいで来ています。最近は作品の余韻を楽しむようになり、ゆったり、じっくりの自分。ただ、今回はどうしても見たい2本でしたので頑張って鑑賞しました。
さて、まずは“偽りなき者”。ちょっとイーストウッド監督の“許されざる者”を連想しますが、まったく別もの。紹介記事では社会派ヒューマンドラマと謳われています。デンマークの映画ですが、第65回カンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞し、その年のアカデミー外国語映画賞にもノミネートされた話題作です。地元デンマークアカデミー賞を総なめにした作品は何と言っても、主人公ルーカスを演じたマッツ・ミケルセンの演技力に尽きます。たわいもない少女が発した言葉から、ギリギリまで追いつめられる主人公の苦悩と戦いがはじまる。何を信じてひとは生きてゆけば良いのかと、そしてこんなにもひとは諦めずに強く前を進んで行けるものなのかとも・・・。日常に潜む落とし穴のような、できごとにひととの関わりを深く考えさせられる。前回見た“チョコレート・ドーナツ”もそうであったように、人の中に潜む疑心の深さはこんなにも人のこころを変えてしまうもなのかと怖くなる。友人の娘クララのあどけない顔がとても印象に残る反面、それが無垢な分残酷さを強調します。似たような冤罪をテーマにした作品は、日本・外国を合わせても数多くあるのですが、今回の作品は本当に怖いと感じました。どちら側の当事者にもなりえることに、言葉では表現できない恐怖が沸き上がる。物語は何事もなかったかのように、終息するのですが・・・.ラストシーンも、強烈なインパクトを残し、忘れること出来ない作品となりました。マッツ・ミケルセンいいですね。大きな身体に逆らうような、繊細なこころを表現する俳優さんに今後も注目。“北欧の至宝”とまで言われている彼の演技力は本物です。
UEKUSA Shoji