2013.July.09
20歳の時、ロバート・レッドフォード主演のこの映画を観た。でもどう言う訳か、ほとんど記憶に残っていない。当時、社会人として第一歩を踏みだしたばかりの頃である。現実の厳しさに打ちのめされていたあの頃。そんな時に観た映画は、あまりに華やかで現実離れした世界を突きつけ、わたしの記憶からそれらを削除させたようだ・・・。何故かレッドフォードの白いスーツにベレー帽の姿だけが、妙にこころに残っている。
あれから40年。また「GATSBY」が帰って来た。自分は忘れ物を探すかのように、映画館に足を運んだ。歳を重ね再び観た映画は、当時感じえなかった様々な印象を改めて教えてくれました。
原作はアメリカ人なら誰でも知っているF・スコット・フィッツジェラルドの作品。映画は原作のままではないようだが、映画としては完成された作品になっているようである。ギャツビー役をいまならだれが演じるのか?と思っていたらやはりのキャスティング。デカプリオは純真な男心を熱く、切なく、美しく見せ、最後まで魅力的に主人公を演じてくれました。相手役のデイジーは「わたしを離さないで」でここに残る繊細な演技をしたキャリー・マリガン。まったく違う印象の役を演じ、その才能に改めて魅了されてしまいました。ニックを演じたトビー・マグワイア(スパイダーマン)も二人に負けず劣らず素晴らしい演技をしています。レオとトビーは実生活でも親友とのこと・・・。羨ましいかぎりです。
さて、映画ですが二人の数年ぶりの再会シーンでみせるギャツビーのこどもみたいな表情が、本当に無邪気で思わず笑ってしまう。好きな人の前では、どんな虚飾も剥がれ落ちてしまうというところ・・・。この作品、ズームして表情のアップを多く使い、こころの動きを誇張しややミュージカル風に演出している。好き嫌いが大きく解れる映画かも知れない。ただ長編の割に、最後まで飽きなかったのは事実。結末は女の猾さやしたたかさを嫌って言うほど感じさせ、同時に男の馬鹿な純真さを対局に置き、男女の生き方の違いをしっかり教えてくれます。お伽噺に隠された、これが現実というお話。
それにしても、舞台美術や衣装など本物(ブルック・ブラザーズ・プラダ・ティファニー)による演出は、1920年代のアメリカの虚実を見事に表現し眼が釘ずけになる。3D映像を効果的に使い、興奮するゴージャスな生活が嫌みなくらいに画面から溢れだす。また音楽(ジャズ)も当時の雰囲気を盛り上げ効果抜群の選択。久しぶりにサウンド・トラックが欲しくなりました。毎晩開かれる派手なパーティシーンは、度肝を抜かれるほどの贅をつくした馬鹿らしさ・・・。これだけでも一見の価値有りです。ただ、そのパーティが実はたった一人の女性のために開いていたというところがポイント。ほんと馬鹿ですねオ・ト・コって。
※最後にパンフのアール・デコ調のデザイン、イカしてますね!!