2012. Oct. 22
北野たけし監督作品、アウトレイジを鑑賞。前作では怒号飛び交う、アウトロー(やくざ)の世界をひたすらクールにそして乾いた感覚で描いた北野監督。「コノヤロー!バカヤロー!!」と言う相手を威嚇する言葉の連呼で、しばらくの間その言葉が耳から離れなかったことを思い出す。今回もと思いきや、何とも静かな進行にちょっとカワされた感。だがこれは北野監督の計算。静かな分、逆にむしろ怖さがつのる。前回に引き続いての出演者と新たに西田敏行や高橋克典を加え、関東と関西の暴力団抗争を軸に復讐劇がはじまりそして終わる。それにしても豪華なメンバーでどの俳優も、あくの強い個性派ぞろい。それぞれが競う合うように悪を演じている。「一番悪い奴は誰だ!」という宣伝キャッチは的を射ているようでいない。マル暴の小日向文世だって、調子良くへらへらしながら裏の裏を読み上手に動くかなり悪。善のかけらもない本当に全員悪。主人公の大友を演じたたけしが、もしかしたら一番いい奴なのかも???何だか解んなくなる。こんな世界が本当なら近寄らないことのかぎる。ひとを信じられなくなる。ラストシーンが思っていたのとちがい、監督にいなされた感じである。見終わるとのどもカラカラで、こころも乾いてしまいました。北野監督にはそろそろあったかい作品を創ってくれることを、いちファンとして切に願うところであります。