

2012. May 23
ひと月ぶりに鑑賞した作品は、大ファンの監督と俳優の組んだ「DarkShadows」。
そうティム・バートン監督とジョニー・デップのタッグである。ティム・バートン監督の描く、暗くもの悲しい世界観が好きである。こころの奥底に秘めた悲哀を、これほど巧みに描き出す監督はそうはいない。それも独特の映像美とユーモアをからめ・・・。
「シザー・ハンズ」をはじめて観た時、内容はもちろん美術的な色彩感覚にこころ魅かれた。衣装や派手なメイクなど、ちょっとやり過ぎではと思うのだが、不思議とその世界に気がつくとどっぷり浸かってしまう。これこそがティム・マジックなのかも知れない。監督作品はどれも極端な闇の世界を演出してるものが多い。だがそれとは真逆に、きちっと優しさや愛を表裏一体で描いてみせる。わたしがティム作品を大好きな理由はこれにつきる。
さて今回の作品は60年代に人気を博していたTVドラマシリーズで監督もジョニーも夢中で観ていた作品とのこと。それをふたりがどう料理するのか・・・。予告で観た印象とはちょと違っていい意味で裏切られた感じだ。だってヴァンパイヤと魔女の愛のもつれがテーマですよ。もっとハチャメチャで理屈抜きの奇想天外な話と思い込んでいました。もちろん充分すぎるほど奇想天外なのですが・・・。いつもの世界観は変わらないが、思っていたよりまじめな内容でしっかりまとめている。愛はどんなに年月が経っても普遍的に変わらない、例えどんなに間違った形であっても・・・。そんな荒唐無稽な愛の物語。
美しき魔女の執念も愛が深いがゆえと、思わせラストはちょっともの悲しい。これがまさにティムのファンタジーワールド。出演者も個性派というより、監督にかかると嫌がおうでも一癖ありで目立ってしまう。ミッシェル・ファイファーがひさしぶりに出ていて嬉しかったです。キャット・ウーマンはハル・ベリーじゃなくやっぱファイファーが最高。あとちょっとビックリだったのは、召使い役で出ていた人物。ジャッキー・アール・ヘイリーは「がんばれベーズ」の名子役。懐かしさを通りこしだた唖然。調べると15年もの間映画界から離れていたらしく、06年に劇的にカンバックしたらしい。以前観た「シャッター・アイランド」にも出てたみたいで・・・。いま、2代目の「エルム街の悪夢」フレディをやっているそうである。でもあのメイクじゃ解りませんよね。今回なかなかの存在感で、これからの活躍が多いに期待です。