
2011.Dec.16.
新宿武蔵野館で懐かしい映画が、デジタルリマスターで上映されていた。そう「いちご白書」である。後にこの映画は、「イージーライダー」や「M★A★S★H」とともに、反体制テーマとしたアメリカン・ニューシネマの代表作となった。当時のファッションや音楽が懐かしく、ワンシーンごとに当時を噛み締め最後は涙。ユーミンの名曲「いちご白書をもう一度」は知っていても、この映画を観たことのある若者は少ないのでは・・・。
16歳の秋。昭和45年10月10日(土)日劇文化にて(当時のパンフに記載)で、この作品と出会った。“何が正しくて、何が間違っているのか?」なんてことは考えたことさえなく、ひたすら映画を観ていたあの頃。この映画はショックだった・・・。そして3日続けてこの映画を観たことを思い出した。コロンビア大学でおきた実話をもとにした作品である。舞台は1960年代後半、学生運動真っただ中の大学。ひょんなことから主人公の青年サイモン(ノンポリ)が、学生運動に身を投じる女性リンダにひかれ人間として成長していく話である。正直当時は学生運動もその意味も、全く興味なくただ過ごしていた。そんな自分でも当時、ラストシーンで言葉にはできないほど、ただただ憤りを感じたことがいまも鮮明に残っている。わたしが観て来た映画の数々。その中でベスト10に入るであろうこの「いちご白書」。ヒロインのキム・ダービーは美人ではないが、素朴でとてもキュート。
ぜひ、いまの若者たちに見てほしい作品のひとつ。観ればユーミンの曲も、ひと味ちがって聴くことが出来るでしょう。単純だが真剣に生きていた、そんな時代がそこにある。余談だが、わが母校「都立K工業高校」も当時、学園紛争の真っただ中でした。最後にバフィー・セント=メリーの歌う主題歌「サークル・ゲーム」の詩と、当時のパンフを載せておきましょう。
「サークル・ゲーム」
どうせこの世はただの夢
昨日子供が遊び歩いて
トンボをとってびんにつめた
空の雷におののいて
落ちる星に涙を流した
そして春から冬が10回めぐって
凍った流れを10回渡った
「大きくなったら」と思いつめ
いつかは夢が叶うだろうと
四季めぐるぐるぐると
ペンキの木馬の上り下がり
「時」という回転木馬
わたしたちはそのとりこ
戻れないあの日をただ振り返るだけ
ただぐるぐると回りつづける
遠くに去った16回の春と夏
めまぐるしいこの世の動き
「もうじきだ がんばれ」と
足を土につけて流れにさからう
あすを夢見る少年も
今はもうはたち
その夢をいくらか色あせたけれど
ことによれば
新しい夢も豊かな夢も
すべての流れがとまるまで