2011.Aug.17
今年度、カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作品である。数ある映画祭の中、歴史や伝統を積み上げてきたカンヌ。カンヌに限らないことだが、これら映画祭で賞を取った作品は評価が大体二分する。興行成績も同じである・・・。映画を総合芸術と捉え、あらゆる面で評価を下すからに他ならない。内容はもちろん、脚本、構成、映像、音楽、撮影技術、などなど。ただ、あまり芸術面を追求しすぎると観客がついて来れない・・・これは事実である。この映画はそんな代表作みたいである。監督はハリウッドを代表するテレンス・マリック。彼は伝説の映像作家と評され、哲学者としても知られている。これだけ言えば解ると思いますが、かなりの難解さである。監督の思い入ればかりが強く感じる作品になった感がある。きっとこれは、理屈をひもとくようなことをせず、体を託す。自身の五感を開放して素直に映像を楽しむ、そうすることが最良の見方かも・・・。
映画は虚像(イメージ)と実像の二つに構成され進むのだが、これがどうもやっかいで観客を困惑させている。それぞれ別に創った方が解りやすいのではと思う。監督には意味があってのことなのだろうが・・・。映像はほんとうに美しいし、創造力を掻立てられるシーンもたくさんちりばめられまさに芸術。実像(俳優たちの演じる)の部、セリフは最小限に押さえられ、表情や目の動きで感情を巧みに表現している。ブラッド・ピット演じる厳格な父と、ひたすら上からのきびしい言葉が浴びせられる窮屈な日々の子どもたち。やがて子らは、「なぜ?」と感じそして反発をはじめる。テーマはいたってシンプルなのだが・・・。映像目線がこどもを意識しての、ローアングル。大人たちからの圧力を感じたり、逆に空ってこんなにも広いんだと感じたり・・・。あらためて目の高さの大切さを思い出した。ブラピも良かったが、妻を演じたジェシカ・チャスティン、三兄弟の特に長男・次男の表情が本当に素晴らしい。父親に対する疑念が憎悪に変化して行くあたり、何をしでかすかドキドキさせる。この辺は男の世界感かも知れない。虚像(イメージ)の方は、ちょっと「2001年宇宙の旅」を連想させる。むかしはキューブリックの作品も難解だと感じたが、まだ解りやすいかも知れない。あと、ショーン・ペンちょっと出番少なくないですか?残念!
この作品、解ろうと思わず感じることできっと解決する話です。ちなみに、映画が終了すると同時に席を立つ人ばかり。みんなブツブツ言っていて、まるで夢遊病者のようでした。きっと頭の中は「???!???!」ってとこかも。
連日30度を超える暑い毎日。夏バテで毎日「そうめん」ばかり食べていては消化できません。肉汁のしたたるステーキでも食らい、みなさんこの映画に挑みましょう。