
2011.Feb.21
スピルバーグが制作総指揮したこの映画。脚本を読み心が動かされ、「これを監督するのはイーストウッドしかいない」とまで言わせ「硫黄島からの手紙」に続いてのコラボ作品になった。
鑑賞する前1999年に公開された、M・ナイト・シャマラン監督の「シックス・センス」が頭に浮かんだ。好きな映画だが、ホラー映画というジャンルに入っているのは?である。人間の中にあるとされる、第六感がテーマのなかなかの映画だった。勝手にそのイメージを抱いて見たのだか、「シックス・センス」が死を描いたとするなら、「ヒア・アフター(HEREAFTER)」は生を描いている。「HEREAFTER」とは“死んだらどうなるの?”という、そんな素朴な疑問のことばである。
さて、映画だが冒頭大津波のシーンではじまり、その後静かにたんたんと物語は進んでいく。主人公はアメリカに住む“死者と繋がる能力に悩む男”ジョージ(マット・デイモン)、フランスにくらしバカンスで訪れたアジアで大津波に遭遇し“死を垣間見た女”マリー、そしてロンドンで生活する“双子の兄を失った少年”マーカス。この3人の不思議な出会いから、生きること生かされていることの真実を描いている。ひとは多かれ少なかれ、生きていれば死と向かいあう瞬間がある。それはとてもつらくそして悲しいもの。この映画はそれをすこしエンタテーメントに描いているが、わたしにはとても身近なことに感じられた。死に直面した時、ひとは何を思いそしてどう生きていくのだろう。だれでも一度は訪れる逃れることの出来ない事実。物語は“死”から“生”を結んだ、とても優しい映画として表現されている。イースト・ウッド監督の感性が伝わるそんな作品である。マット・デイモン演じるジョージの能力を通して、マーカス少年が亡くなった兄と繋がる会話のシーンでは涙が止まらなかった。ラストがすこしアッサリしていたので、ちょっとイーストウッド監督らしくないと言えなくはなかったが・・・。みなさんの意見はどうでしょう。