
2010.Dec.17
ひさしぶりの公開日鑑賞。それほど見たいと思わせた「トロン:レガシー」。アメリカ映画が創る、無限の映像表現に驚嘆させられた一本となった。前作から27年の時を経ての続編公開。前作は当時アニメのディズニーが、新しい映像表現に挑んだ当時の最先端技術を駆使して撮られたSF映画。しかし結果は惨敗。話題とはうらはらに、興行は不振を極めたと記憶している。わたしの記憶でも、印象にあまり残っていない作品である。興行成績がいいものイコール、良い映画とはいえないのですが・・・?!時代はまだコンピュータという存在自体が遠い世界で、正直観る側の知識が追いついていなかったことも影響したようです。
さて、今回の「トロン:レガシー」。ひとことで言うなら、洗練されたスタイリッシュで格好良い映画である。3Dの映像効果も必要性がしっかり感じられ、新しい創造の世界が観る者に伝わる。映像だけでなく、衣装、美術、音楽、すべてのクオリティが高い。ストーリーも面白く、シンプルである。27年の歳月を無駄にしない、ディズニーに拍手です。無機質でバーチャルな世界感が逆に、不思議と人肌を感じさせてくれる。ラストでオリヴィア・ワイルドが演じた“クオラ”の表情は、とても印象的で美しい。“クオラ”のキャラは、マトリックスの“トリニティ”に共通する。トリニティ大ファンの自分は、クールでスマートなニューヒロインの登場に、これまた虜になってしまった。このSF分野は、日本がどんなに逆立ちしても追いつかないような気がする。制作費や時間のかけ方だけが原因ではないとわたしは思える。
旧作「トロン」の続編として本編が創られていることには、ディズニーの並々ならない作品へのこだわりを感じる。それは今年「クレージー・ハート」でアカデミー主演男優賞を獲得した、ジェフ・ブリッジス演じるケヴィン・フリンの存在にも表れている。彼を前作の役のままつかい、27年の歳月を超え主人公の父親、そしてキーマンとし見事に演出している。また、それに応えるジェフもさすがの存在感で、作品に厚みをましてくれている。
余談だが、実のお父さんのロイド・ブリッジスは、TVドラマ「潜水王マイク・ネルソン」で、しっかり私の記憶に残る、海が似合う俳優さんでした。「トロン:レガシー」はわたしの中では、好きなSF映画のひとつに確実に加わった作品となりました。男の子はこういう映画が基本的に大好きです。
P.S.旧作「トロン」。もう一度見てみようと思います。