2010.Jun.15
6月にさか登って映画の話を・・・。「アウトレイジ」北野たけし監督、カンヌ出品作品。世界で認められる北野監督が久しぶりに描くバイオレンス。いかにも怖そうなあんちゃんがてんこ盛り。そんな中、北村総一朗、小日向文世、三浦友和といった温厚なイメージの俳優さんたちがそれぞれにいい味を出している。とくに北村さんは印象深い。また、加瀬亮は新しい一面をこの作品で開花。「座頭市」以来、いまひとつ輝きを出せてないかんのたけしワールド。原点に返っての今作品。「コノヤロ~!!バカヤロ~!!」の罵声飛び交う進行は怖さを越え思わず笑ってしまう。これも狙いなのだろう。それにしても徹底したバイオレンスだ。「その男、凶暴につき」の時のような、ナーブな感情の表現は至って押さえた演出である。たけし監督らしいと言えばらしいのだが・・・。すこしもの足りなさを感じたわたし。世界が注目する監督は、どんな想いで作品を創るのだろう。
ここだけの話をちょっと・・・。映画冒頭のシーン。たけしの親分(國村隼)が大親分(北村総一朗)に叱責され門から出て来る場面で、胸元の組章バッジが曲がっているのだが、その後たけしとの会話の時に真っ直ぐになっているのを気づいてしまったわたし。別に意識して粗を探すほどイヤな奴ではないつもりだが、集会の席で会長の後にある大紋のデザインに目がいってしまった。性というか困った観察心だ。初っぱなのこのシーンで、すこし鑑賞の気合いをそがれてしまったのは言うまでもない。だが、気がつくほうが悪いのかも・・・。トホホ・・・。最後も予想通りの展開といえる。次回作に期待をしたい。北野作品大好きな、いちファンより。