2010.Mar.12
学生の頃よく通った、飯田橋のギンレイホールに出かけた。驚いたことに満員である。ウィークデーだと言うのに、このにぎわい。確かに昔から名画座としてにぎわってはいたが、このご時世で・・・。圧倒的に中高年の方が多い。なんかちょっと嬉しい。
今日は見逃してしまった映画「レスラー」を観に来た。ミッキー・ローク主演のこの映画。アカデミー主演男優賞にノミネートされたりし話題の多い作品である。ミッキー・ロークと言えば「ナイン・ハーフ(86)」でクールで影のある主人公を演じ、当時セックス・シンボルの名をほしいままにしていた。その美貌で若い女性たちのこころを掴んでいたと記憶する。その彼が?である。いろんな意味、とても観たかった作品。あと個人的なことなのだが、わたしが無類のプロレスファンであることも足を運ばせた要因のひとつだ。
アカデミー賞こそ逃したが、ゴールデン・グローブ賞など数多くの賞に輝いたこの映画、本当に素晴しい作品である。物語はシンプルだが、ミッキー・ロークや二人の女優が体当たりの演技で、言葉にならない感情を、目や仕草で表しこころに響く。主人公のランディはミッキー・ロークそのものかも知れない。一時彼は銀幕の世界から消えていた。いろいろなことがあったのは、私なりに知っている。それを乗り越えてきたからこその、この映画だと思う。鍛えあげられた肉体も凄いが、ナイーブな感性の演技にこころから拍手である。昔ほどハンサムではないが、いまの方が何百倍も魅力的な俳優になったミッキー。今後の作品が楽しみな自分である。またランディが好きになるキャシディを演じたマリサ・トメイもすごく魅力的。娘を演じたエヴァン・レイチェル・ウッドは「ダイアナの選択」でも観たが、存在感のある期待の新人。楽しみな女優さんたちである。
映画から離れた話だが、この主人公の男みたいな生き方、今どきの女性はどう思うのだろう・・・。自分勝手で不器用でいくつになっても子どもみたいで・・・。ダメダメ人間。わたしは擁護する訳ではないが、こういう生き方は好きである。ある意味うらやましい。自分の居場所があるというのは、どんなに苦しい所でも幸せな場所にちがいない。映画の冒頭、控え室でひとりパイプ椅子にすわる、ランディの背中が眩しく悲しい。でもカッコいい。是非、お薦めの一本である。
※そう言えばミッキーは日本でボクシングの試合をした事がある。何かは忘れたが、誰かの世界戦の前座試合。当時ネコ招きパンチと言われ、格闘技ファンから失笑をかっていた事が思い出される。でもいまにして思えば、それでも続けたからこそ、いまがあるのだろう。