2010.Feb.23
娘の高校受験日。祈るだけでは何も生まれないと言う訳で、今年小学校に入学する息子と「OCEANS」を見に出かけた。この映画わたしも観たかったのだが、息子が前々から「オーシャンズ!オーシャンズ!!」とず~っと言い続けていたもの。受験日に不謹慎かとも思ったが、ソワソワと家にいてもと息子との共有時間を楽しんだ。「海ってなに?」って言う少年の一言からはじまるこの映画。映像の美しさに、すぐ引き込まれてしまった。ネイチャー・ドキュメンタリーというジャンルを確率させた、フランスのジャック・ペラン監督の作品。前作「WATARIDORI」でわたしたちが観た事のない自然を、卓越した映像美で届けてくれたのは記憶に新しい。今回の映画も、どうやって撮ったのだろうと思うシーンが満載。本当に美しい限りである。海の神秘性がこころを刺激する。CGを駆使した映画全盛の中、そのままの自然をひたすら自然に撮り続けた、そのエネルギーに敬意を捧げたい。ペラン監督は映画の中、道先案内人として出ているが、きちっと「海」は人間だけのものではないことをメッセージしている。息子は終止映像に釘付けだったが、映画が終わり劇場を出ると「サメかわいそうだったネ!」と何度も何度も言っていた。小さな子どものこころにも、ちゃんとそのメッセージは伝わったようである。「自分たちはいろいろなものの命をいただいているんだから、感謝の気持ちを忘れちゃダメだよ!」とすこし偉そうに言ってしまった。自分にも言い聞かせるように・・・。
ペラン監督は、元フランスの青春アイドル的俳優。はじめて観たのは40年以上前。「未成年」という映画である。「ロシュフォールの恋人たち」「Z」など名作に数多く出演しその名を不動のものにした人。その後しばらく姿を観ないな、と思っていたら「ニューシネマ・パラダイス」で成長したトトを演じその存在感をあらためてしめした。監督がなぜ、ドキュメンタリーの世界に魅了され、これほどの映画を作り上げたのかは解らない。だがその感性はただものではない。「自然に勝るものは、この世にはないと。」本当に思わせてくれるそんな映画でした。
P.S. 私ごとですが、娘も無事合格しました。ヤレヤレ・・・。