
2010.Feb.5
友人2人が個展を開いた。友人と呼んでいいものか解らないが、わたしが勝手に思っている二人。ひとりは木部一樹さん。もうひとりは綾幸子さん。お二人の描く世界はまったく違う。ただ見る人のこころを癒すという所は、間違いなくいっしょ。
木部さんを訪ねたのは、2月1日。銀座煉瓦画廊に足を運んだのは、冷たい雨が降りはじめた午後。画廊は歌舞伎座の裏にある。歌舞伎座はまもなく取り壊され、改築工事がはじまる。伝統ある建物が街からなくなるのは、ちょっと寂しい。この周辺も昔とは随分変わってしまった。時代のせいにはしたくないが・・・。画廊に着くと、木部さんが日本酒を片手に迎えてくれた。いつもの木部さんだ。ひととおり作品を拝見し、センターのテーブル前に腰を掛けた。変わらない絵筆の巧みさに触れた。今回はほとんどが、新聞、雑誌に掲載されている挿絵。木部さんは野鳥の画のイメージが強いが、作品を見るとその多才な画力に驚かされる。個展案内ハガキに、絵師とうたってあるのを納得。近況や友人の話やら、知らぬ間に2時間くらい話し込んでしまった。おっとりとした話ぶりはとても心地よく、まるで揺りかごに抱かれているようだ。楽しい時間を過ごさせてもらった。
綾さんを訪ねたのは4日の3時頃。立春と言うには、かなり寒い日。四谷三丁目にほど近い、「えいじう」というギャラリーを訪ねた。1階が喫茶店の洒落たギャラリー。2階の上がると、淡い黄緑色の着物を纏った綾さんが迎えてくれた。着物姿ははじめてで、ちょっと驚いたが年を重ねて大人の女性になっていた。お会いするのは本当に久しぶり。昔から変わらぬ笑顔は、そのまま。ほわ~んとした語り口も健在。作品は昨年出版された、絵本「しましまさん」(フレーベル館刊)の原画が中心。綾さんの性格がそのまま現れている、ほのぼのしたやさしい画が所狭しと並んでいた。お互いに年を重ねてきているが、綾さんは全然変わってなくて、やっぱり綾さんでした。こころの豊かなひとは、顔に現れる。1時間ほどお邪魔をし、ギャラリーを後にした。玄関を出てしばらく歩き、ふと振り返ると、わざわざ玄関前で綾さんが「ありがとうございました」とこちらに声を掛けてくれていた。外は寒いのだが、なんだかとてもこころが暖かくなり、とてもいい時間をいただいた。
お二人にわたしからのお願い。これからもこころを癒す画を書き続けてください。