09.Oct.15

20世紀少年のファイナル。1、2部と間を開けての最終章。原作を読んでいる人とそうでない人は、きっと受ける印象に差がある気がする。良くも悪くも作り手にはプレッシャーはあるだろう。個人的には原作は原作として大切にし、映画はまったく別の表現として、創った作品が好きである。実際はそんな簡単なことではないことは百も承知の上で、言っているのだが・・・。
今回の作品が3部作の中で、一番好きである。謎解きウンヌンではなく、単純にである。なんて言えばいいのだろう。中身がすべて懐かしさと思い出のテンコ盛りだからだ。大阪万博の時、自分は高校生。わたしの通った高校は学園紛争の真っ最中で、まさに青春のまっただ中。チョットとツッパッて世の中を斜に観ていた頃。小学生の頃は、秘密基地も創った。貧乏だったので、駄菓子屋にはあまり行けなかったが・・・。なにもかもいっしょである。こんな感じは、50代の人ならみないっしょな気がする。随所に当時を思わせる演出がトコトンちりばめられている。例えばケンジが盗んだバッチはウルトラマンの科学特捜隊の模写だし、地球防衛軍の征服はデザインや色までご丁寧に復活させている。嬉しい限りである。反陽子爆弾という名は当時、「W3」ほかの漫画にでてくるもので、地球そのものをも消すほど威力のあるもの。例えマンガと解っていても、それは本当に恐かった記憶がある。T-REXの曲やサイケなファッションなど、昭和のすべてがここに画かれている。ほかにもあげたら切りがないほど、時代背景が浮き彫りされている。少年の頃、たわいもないことにハラハラドキドキし過ごした毎日がここにある。ケンジたちが埋めた、柿の種の空き缶(タイムカプセル)そのものなのである。わたしは映画鑑賞といっしょに当時を思い出し、思いっきり楽しんでしまった。日本ロックの先駆者と言える、遠藤賢司(主人公と同名)がちらっと顔をみせているのも、洒落がきいていて思わずクスッ!原作者はじめ、この映画に関った人たちは、昭和の良き時代を本当に愛してやまないのだろう。わたしもだが・・・。
※懐かしグッズの一番はともだちが少年時代にかぶっていたお面。ひとつは「忍者ハットリ君」。そしてもうひとつ「ナショナルキッド」。このヒーロードラマが大好きだった自分。昭和30年代に松下電気の提供で放映していた特撮TVの先駆者である。テーマ曲に合わせて空を飛ぶ映像(東京タワーをバックに)はいまでもこころに深く残っている。その頃のTVがつぎつぎと頭に浮ぶ。海底人8823、七色仮面、アラーの使者、少年ジェット、笛吹童子、白馬童子、風小僧、マリンコング、恐怖のミイラなどなど。いまも間違いなくわたしの中のヒーローたちである。