
09.Apr.14

待ちに待ったレッドクリフⅡ「未来への最終決戦」を観た。前作もかなり楽しませてもらったのだが、今回も前作を凌ぐ出来映えになり最後まで時間を忘れ鑑賞に浸ってしまった。ジョン・ウー監督の演出力には、本当に拍手を送りたい。これだけのスケールの映画をいま創れる人はそうはいないだろう。三国志の中でも特に知られた激戦「赤壁の闘い」。歴史に興味がなくても、充分すぎる内容を映像と美術で楽しませてくれる。こういう映画は男にはたまりません。さらに今回はふたりの女性(小喬と尚香)を上手く軸にからめ、エンタテイメント性をより深くした傑作である。テンポよく進む話と映像美の展開に時間を忘れてしまう。熱い男の世界に、恋愛をちょっぴりからめるあたりは遊び心のにくい演出。史実にプラス独自の世界を加え、娯楽性を高めたウー監督の真骨頂である。完全にアクション映画監督のイメージを消した作品と言えるのでは。出演している役者も、その人物像にしっかりはまりそれぞれが印象深い。好みの違いはあれど、どの人物も魅力的である。適役の曹操さえ、病人に暖かい言葉をかけるところなど器の大きさを感じてしまった。もちろん史実は敵も味方もない、それぞれが一国をおさめた実在した人物なのだが・・・。
三国志は大きく分け、「正史」と小説「演義」の2つあるとのこと。こんなことも知らずに語ってしまっている自分が少々恥ずかしい。映画はもちろん演義のフィクション色が強い。それにしても見る側をこんなにも引きずり込んでしまうスケールの大きい、いかにも中国の話である。とくに好きなシーンがある。決戦前に冬至を祝い団子を食べる際、甘興(中村獅童)が周瑜(トニー・レオン)の器にそっとひと粒分け入れるシーンは、まさに義の心が伝わりグッとくる。三国志はこれからも、いろんな人物にスポットをあて、もっと映画にして欲しいと思うわたしである。
最後に、今回のテーマは“愛”と“義”だと思うが、いえることがひとつ、それは男たちだけのものではないということ。それをこのパートⅡではハッキリ印象付けたように思う。そして改めて、女の強さと存在感を知らしめた。やはり本当に強いのは女性なのか?!男たちよ、愛される人にならなければ・・・。